◆懐かしいロシア民謡?
珍しく、ロシア映画(「私のちいさなお葬式」)を見ていると、聞き覚えのあるロシア民謡(と思しき曲)が流れた。
小学生のころ聞いたような懐かしいメロディで、何という曲だったんだろうと気になったので、口笛や鼻歌から楽曲を検索できるアプリを使って調べてみた。
すると、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」であることが判明した。
「ああなるほど、昔よくあったような、ロシア民謡に日本語の歌詞をつけた曲なのか」・・・と納得してから、「じゃあ、もとのロシア民謡はどんなのだろう」と気になって調べてみると、とんでもない事実が判明した(ただし、Wikipedia 情報です)。
なんと、オリジナルがザ・ピーナッツの「恋のバカンス」(1963年)であり、作曲が宮川泰、作詞が岩谷時子だというのである。
ではなぜ現代ロシア映画の中で流れるのかというと、ソビエトの国営放送局の東京特派員がこの曲を気に入って本国に持ち帰り、ロシア人の人気歌手がカバーして大ヒットしたのが起源だそうである。
1965年のことだ。
その後も歌い継がれて、「現在のロシアでも世代を超えた有名曲となっている」(Wikipedia)から、現行型のアウディQ7が出てくるようなロシア映画のバックに流れたりするのである。
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そこまでわかっていちおうは納得したものの、「いや、待てよ」という気がちょっとした。
最初に映画で聞いたとき、紛れもないロシア民謡だと思ったのは、おそらく先入観でも偶然でもない。
曲調が、やはりどこかロシア的なのだ。
その私の感覚が正しいとすると、当時流行していた種々のロシア民謡にインスパイアされて作曲された曲なのではないだろうか。
作曲した宮川氏の脳裏にも、そのころには多くのロシア民謡が流れていたはずであり、その影響がこの曲を生んだと考えるのは、穿ちすぎではないはずだ。
だとすれば、その曲がロシア人特派員の耳にとまり、その後ロシアでヒットして「ロシア人の中にはこの曲が日本で作られた曲であることを知らない人さえいる」(同)のも頷ける。
ロシアからの種子が日本で芽吹き、母国でも花を咲かせたと考えると、なんだかちょっと楽しい。
政治の話は抜きにして。
追記:なんと、エンディングテーマまで「恋のバカンス」のメロディだった・・・
(Карп отмороженный, 2017 Russia)
(ロシア語の原題↑は「凍った鯉」、英語の題は「溶けた鯉(Thawed Carp) 」のようです。)
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