◆「手良乎」の謎
追記:下記に関して、『日本国語大辞典(第2版)』に記載があるとの懇切丁寧なご教示を賜りました。ありがとうございました。
「辞書にないのに」と繰り返しておりましたが、単なる私の見落としでした。お恥ずかしい限りです。
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本日付の「朝日歌壇」に、
「手良乎」とう『色葉字類抄』にもある言葉今も津軽の地には生き延ぶ
という作品が掲載されていた。選者は馬場あき子である。
馬場によると「手良乎は蝶のこと」だそうだ。
『色葉字類抄』は、平安時代末期、12世紀半ばに成立したと言われる古辞書。
最初は「なるほどなあ。方言周圏論(中央の言葉が同心円状に地方に波及していくという考え方)はここでも有効なのだ」と思っただけだった。
だが、気になって「手良乎」(新聞には「てらこ」と振り仮名がある)を辞書で調べてみても、手元で見られるあらゆる辞書に載っていない。
「手元で見られる」とはいってもネット時代、日本最大の『日本国語大辞典(第2版)』(書籍だと全14巻、23万1000円)まで含むのに、である。
『色葉字類抄』そのものは家で見られないが、そこに載っている語であれば、辞書に載っていてもよさそうなものなのに。
そもそも、馬場はどうして「手良乎は蝶のこと」だと知っているのだろうか。辞書にないのに。
馬場あき子ほどの人であれば、自宅に色葉字類抄くらいは置いているのだろうか。
あるいは、作者がハガキに書いていたのか。
もしかすると、一流の歌人には常識なのか。辞書にないのに(しつこくてすみません)。
辞書にないどころか「手良乎」を漢字でネット検索しても、ヒットするのは朝日歌壇だけなのである。
「"てらこ" "蝶"」で検索しても、関連のありそうなのは「つがる弁」について述べた1つのみ。
諸賢のご教示を賜れれば幸いです。
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