★マニュアル車へのサウダーデ?
ポルトガルが「サウダーデ」で有名だというのを『地球の歩き方』の表紙で知ったというのはどこかに書いた。
「ノスタルジー」ともちょっと違う、「郷愁」と訳すとまた違う、ポルトガル独特の概念だということであった。
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さて、話はマニュアルトランスミッションの車についてである。
車好きの端くれとして、「車はマニュアルに限る」というのもわからないではない。
購入する車にマニュアルの選択肢があれば、今でもそれを選ぶかどうか、じゅうぶん一考に値すると思っていた。
だがもはや、日本で販売されている車の99%がオートマチックだということで、この比率は何と世界一だそうである。
輸入車を買おうとしても、並行輸入でもしなければ、そもそもマニュアルの選択肢がない。仕方なくオートマチックに乗っているという側面があると考えていた。
しかし、今日まで1週間、1200キロほどをマニュアル車で走ってみて、マニュアルに意味はないという結論に初めて達した。
身も蓋もない話だが、面倒くさいだけである。どうしてポルトガルでは、車の90%以上もがマニュアルなのか。
今のオートマチックはよくできていて、いうまでもなく、アクセルだけで0km/hから200km/h超まで、スムーズに加速できる。ブレーキを併用すれば、その間の速度調節も自由自在だ。
それに、たとえば私の乗っている車は、いわゆるロボタイズドMTと呼ばれるタイプで、メカニズム的にはMTだから、やろうと思えばクラッチ操作なしのマニュアル変速も可能だし、トルクコンバータを介していないので加減速もMTに劣らずダイレクトだ。
燃費もすこぶるよく、あえてMTを選ぶ理由がない。
まあ数十キロも走ればそこそこ自動的に体が動くようになってくるとはいえ、停止から90km/h(一般道の制限速度)でも、1→2→3→4→5→6と忙しくスティックをきこきこしつつ、変速のたびにクラッチを踏み込み、丁寧に戻してつなぐのを繰り返す。
速度が変われば6→4→3→4→5→6なんてザラだ。低速の市街地でも、1→2→3→2→3→4→2→1→2・・・みたいなことをひっきりなしにやっている。
これが面倒くさくて無駄なだけでなければ何なのか。「マシン」を自在に操る楽しみ? それは上記のとおりATでも得られるし、ほんとにいったい、マニュアルの意味って何なのかと考え込んでしまう。
それに、いま借りている車は、変速機こそマニュアルだが、現代の車らしくいろいろコンピュータ化されていて、クラッチを踏んでこきこきしなければならないことの意味をよけいに疑わせる。
スピードが乗ってくると○速にシフトアップせよとインパネに表示してくるし、落ちると逆にシフトダウンせよという。前車の速度に合わせて追従するクルーズコントロールもついているし、車線からはみ出しそうになると勝手にハンドルが動いて戻そうとする。誤動作だったが、前方に障害物を見つけると自動的にブレーキもかかった。パーキングブレーキも電動で、発進しようとすると自動で解除される。
いったいどうして、変速だけ、クラッチを踏んだり戻したりしながら、しこしことスティックを動かさなければならないのか。「そんなにシフトアップ(ダウン)せよというなら、お前がやれよ」という気になってしまう(笑)
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もはや、マニュアル車を愛好するというのは、サウダーデにすぎないという結論を得たことが今回の旅行におけるひとつの収穫である。いや、サウダーデだかノスタルジーだか懐古趣味だかわからないけれど。
実は、次に買うかもしれない車にマニュアルの選択肢があり、少しは考えていたのだが、どんな車を買うにせよ、マニュアルはやめておこうと決めた。
数年後にこの実感を忘れてしまわないように、ここに明確に記しておく。
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