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2026.03.31

●「カイエン」と「ポーポイズ」 ──調べてみれば・・・

 ポルシェにカイエンという車種がある。スポーツカーしか販売してこなかったポルシェが、2002年に初めて発売したSUVだ。
 その「カイエン」という名前の由来をまったく気にしたことがなかった。SUVにあまり興味がないからではあるが、われながらちょっとあんまりだと思う。

 今回、恒例の早春さくら紀行で和歌山県の串本に出向き、ひょんなことから夕食を食べることになったレストランの名前が同じカイエン(Cayenne)だったことが気になって、初めて調べてみた。

 まず、Cayenne(カイエンヌ)は、南アメリカ北東部にあるフランス領ギアナの首都である。
 そのカイエンヌ原産の赤トウガラシの実を粉末にした香辛料がカイエン(ヌ)ペッパー。

 そこまでは、仏和辞典や英和辞典のみならず、国語辞典(『大辞林』『大辞泉』)にまで載っていて驚いた(「カイエンペッパー」だけなら『広辞苑』にも)。

 そして、ポルシェ・カイエンは、この非常に辛いカイエンペッパーにちなみ、「力強く刺激的な走り」をイメージさせるものとして命名されたという。

 ちなみに、串本のレストランのほうも、「工夫を凝らしたちょっと刺激的な創作料理」を意図して名付けたそうだ。
 名に恥じぬお料理で、ちょっと感動した(ただし、スパイスが効いているわけではない😅)。
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 もうひとつ、ホテルのロビーに『世界のクジラ・イルカ百科図鑑』というのが置いてあったので、ぱらぱらと見てみたのだが、もとは洋書で、表紙に "WHALES, DOLPHINS & PORPOISES" とあったのが気になった。

 PORPOISESって何?

 調べてみると、「ネズミイルカ」という(一般のイルカより小ぶり・太めで鼻が丸い(『ウィズダム英和辞典』))種類を指すらしい。

 そもそも、分類学的にはイルカはすべてクジラであり、クジラを分類するならば歯クジラとヒゲクジラであるべきで、であるなら、イルカはマッコウクジラと同類、シロナガスクジラとは別の仲間ということになる。

 だが、それはそれとして、日本語では一般に、クジラとイルカとに分けている。英語ではそれに加えてネズミイルカを分けるのだろうか。
 もし日本語でクジラ類を3つに分けるとすると、おそらくは、クジラとイルカとシャチになるだろう。なのに英語だとネズミクジラ?
 不思議なものである。

 もうひとつ、個人的に驚くような発見があった。

 このネズミイルカのカタカナ名「ポーポイズ」(ただし英語の発音はポーパスに近い)は、私にとってすごくなじみのある言葉なのだ。なのに、”PORPOISE” をポーポイズと読んでも、まったくピンと来ていなかった。

 ポーポイズとは、飛行機用語(に限らず船や車でも使われるらしいが)で、着陸に失敗しそうになったときに機体が上下動を繰り返して制御不能になり、ついには滑走路に激突するような波状の動きを指す。
 「ポーポイズを起こさないように」というのは、飛行機を操縦する上で最初のころから何度もたたき込まれる教えである。

 そのポーポイズがまさに、「ネズミイルカが海面をジャンプしながら泳ぐようすに似ていることから名付けられた」(『大辞泉』)のだそうだ。

 そんなこと、夢にも思っていなかったし、だれも教えてくれなかった。そして、ポーポイズの語源を調べようなんて思いつきもしなかった。
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 仕事柄なのか性格なのか、わからないことや気になることがあればすぐに調べる癖がある。

 そうはいっても、昔は辞書や百科事典、あるいは書籍でないとどうにもならなかったのだが、近年はまずインターネット、さらに最近では AI も発達してきて、ほんとに何でも手軽に調べられるようになった。
 得られる情報が正しいかどうかはともかく、当座の好奇心はたいてい満たされるし、本当に正しいかどうかも、インターネットや AI でさらに調べることが相当程度まで可能になっている。

 そんな中、カイエンもポーポイズも、まったく調べる気にならなかったのがおもしろい。

 まあ、それでなくても無駄にいろいろ調べるだけで膨大な時間を浪費しているし、これ以上ほんとに何でもかんでも調べるのはさすがに無理である。

 それにしてもカイエンとポーポイズを今まで調べなかったとは・・・と感慨に耽り、またどうでもいいことで時間を浪費する年度末であった・・・

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2026.03.01

●ちゃんとわかりやすく書いてほしい ──ABC予想とは何か

 アメリカとイスラエルがイランに無法な戦争をしかけ、小学生たちが虐殺された(しかも「日本政府全体としてそれを支持する」と小泉防衛大臣が記者会見で述べた)というときにこんなつまらないことを(しかもひさしぶりに)書くのも気が引けるのだが、正直、そういうことに本気で怒っていると身が持たないので、自分なりの判断を下してできる範囲のことをする以外のことはしないようにしている。

 「できる範囲のこと」がごく限られているのは申し訳ないが、そんな自分でもある程度は肯定してやらないと生きていけない。

 ・・・ここまで書くだけでもかなりの時間を費やしてしまった。

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 さて、twitterに珍しく連投したので、そのまま流してしまうのは惜しくなってここに転載することにした(一部改変)。

 新聞記事に文句を言い出すと、これも切りがないのだが、たまにはこうして書いておこうと思った。

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 2026年2月27日(金)の朝日新聞朝刊に
「ABC予想の証明、論争決着?」
という記事が掲載されていた。

 その中で、ABC予想は
「cがdより大きくなることは珍しい ・・・ということを証明する問題」
だと書かれていた。

 素人にわかるように書いたつもりかもしれないが、かえってわかりにくい。

「珍しい ・・・ということを証明」するってどういうこと??

 「「珍しい」を定義しないと絶対に証明できない」というのは、素人でも(というか、素人だからこそか)思いつく。
 これでは説明になっていない。

 そのせいで、天気のいい貴重な休日の朝をABC予想に潰されることになってしまった😅

 珍しいというのだが、その例はすでに数千万組見つかっているらしい。

 この「珍しい」というのは、
「cがdより大きくなる例は有限個しかない」
という意味だそうだ(間違っていたらすみません)。

 それならそう書けば、この問題に少しでも興味のあるような人ならほとんど全員が理解できるだろう。

 わかりやすくしたつもりで、素人向けに

ABC予想は
「cがdより大きくなることは珍しい ・・・ということを証明する問題」
などと書くのは、まったくの逆効果だと思う。
 「珍しいことの証明?」となるのがふつうだ。

 わかりやすさを目指すなら、わかりやすさをきちんと目指してほしい。

 問題の朝日の記事
(いわゆる「プレゼント」機能を使いましたが、無料で全体が読めるのは今から24時間弱のみです。)

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