2021.02.19

◆懐かしいロシア民謡?

 珍しく、ロシア映画(「私のちいさなお葬式」)を見ていると、聞き覚えのあるロシア民謡(と思しき曲)が流れた。

 小学生のころ聞いたような懐かしいメロディで、何という曲だったんだろうと気になったので、口笛や鼻歌から楽曲を検索できるアプリを使って調べてみた。

 すると、ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」であることが判明した。

 「ああなるほど、昔よくあったような、ロシア民謡に日本語の歌詞をつけた曲なのか」・・・と納得してから、「じゃあ、もとのロシア民謡はどんなのだろう」と気になって調べてみると、とんでもない事実が判明した(ただし、Wikipedia 情報です)。

 なんと、オリジナルがザ・ピーナッツの「恋のバカンス」(1963年)であり、作曲が宮川泰、作詞が岩谷時子だというのである。

 ではなぜ現代ロシア映画の中で流れるのかというと、ソビエトの国営放送局の東京特派員がこの曲を気に入って本国に持ち帰り、ロシア人の人気歌手がカバーして大ヒットしたのが起源だそうである。
 1965年のことだ。

 その後も歌い継がれて、「現在のロシアでも世代を超えた有名曲となっている」(Wikipedia)から、現行型のアウディQ7が出てくるようなロシア映画のバックに流れたりするのである。
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 そこまでわかっていちおうは納得したものの、「いや、待てよ」という気がちょっとした。

 最初に映画で聞いたとき、紛れもないロシア民謡だと思ったのは、おそらく先入観でも偶然でもない。

 曲調が、やはりどこかロシア的なのだ。

 その私の感覚が正しいとすると、当時流行していた種々のロシア民謡にインスパイアされて作曲された曲なのではないだろうか。
 作曲した宮川氏の脳裏にも、そのころには多くのロシア民謡が流れていたはずであり、その影響がこの曲を生んだと考えるのは、穿ちすぎではないはずだ。

 だとすれば、その曲がロシア人特派員の耳にとまり、その後ロシアでヒットして「ロシア人の中にはこの曲が日本で作られた曲であることを知らない人さえいる」(同)のも頷ける。

 ロシアからの種子が日本で芽吹き、母国でも花を咲かせたと考えると、なんだかちょっと楽しい。

 政治の話は抜きにして。

 追記:なんと、エンディングテーマまで「恋のバカンス」のメロディだった・・・

 (Карп отмороженный, 2017 Russia)

 (ロシア語の原題↑は「凍った鯉」、英語の題は「溶けた鯉(Thawed Carp) 」のようです。)

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2020.10.31

◆何度目かの Sleepless in Seattle

 3年ぶりにどこにも行かない秋休みを過ごしている。

 3年前は、家人が新しく買った車の練習に付き合わされていた。
 一昨年は、ひょんなことから函館に飛び、昨年は富士箱根伊豆を回った。
 今年は、いまのところ、結局どこにも行きそうにない。

 昨日は、家人が近年行っていない場所へ車で行くための練習に付き合わされた。

 今日は快晴なのだが、なんだか出かける気もしないので、Amazon Prime Video で何か見ようとあさっていると、Sleepless in Seattle(めぐり逢えたら:トム・ハンクス、メグ・ライアン) が目に入ったので、それを見ている。
 他に食指の動くものがなかった。

 見ていると、記憶に残っている台詞が多くて驚く。3回は見ていないと思うんだけれど、もしかすると見たのかもしれない。

 今回は、キャストの名前がずらずらと出てくる最初のところでまずびっくりした。

 ロブ・ライナーが出ているのである。今まで知らなかった。

 どこで出てくるのかと思っていると、トム・ハンクスがシアトルに引っ越した後の建築仲間で、デート指南をする太った友人がそうだった。
 cute butt とか Tiramisu とか、印象的な台詞が出てくる場面だ。
 2人が話しながら降りていく坂は、9年前にシアトルに行った時に通った場所だという気もする。

 同じ映画を何度も見る趣味はないのだが、新しい映画を探してがっかりするよりは、名作だとわかっている映画を見直して懐かしむとともに、なにか新しい発見をするのもいいかもしれないと思った。

(Sleepless in Seattle, 1993 U.S.A.)

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2020.10.16

◆『ロープ 戦場の生命線』(原題:A Perfect Day)

 映画はコンスタントに見ています。

 手間を厭ってここでご紹介することはほとんどなくなっていますが、これはどうしても紹介したくなりました。

 『ロープ 戦場の生命線』(原題:A Perfect Day)です。

 この邦題は、例によっていただけません。

 舞台は戦場ではありませんし、発砲も爆発もありません。画面内で人が死傷したりすることもありません(ただし、死体は出てきます)。
 ロープは確かに鍵となるアイテムではありますが、それが生命線という文脈でもありません。

 一方で、原題の"A Perfect Day" にこめられたシニカルなユーモアは、なんともいえないよい味を出しています。

 舞台はバルカン半島のどこか。戦争がいちおう終結したあと、和平協定が結ばれた地域に入って援助活動をするNGOの多国籍チームが主人公です。

 何者かによって井戸に死体が投げ込まれ、村人の「生命線」である水の確保が困難になりました。
 NGOは、ロープを使って引き上げようとしますが、それが途中で切れてしまいます。
 そのため、ロープを探しに出かけるのですが・・・

 なんといっても、シリアスな状況を皮肉な笑いで包みこみながら人道支援をする登場人物たちが素晴らしい。
 その彼ら彼女らが、理想に燃えた美しい存在としては描かれていないところに、えもいわれぬリアリティがあります。

 私の筆力ではとても紹介できませんね・・・

 何はともあれご覧ください。私が今年見た、軽く100は超える映画の中で1番の傑作かもしれません。

(A Perfect Day, 2015 Spain)
(台詞はほとんど英語ですが、多様な言語が飛び交う点もすばらしいですね。)

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2020.10.03

◆下半期がスタートして

 いくつか細かいことを備忘録的に書きたかったのだが、思い出せない。

 とりあえず適当なタイトルをつけて、思い出すままに書きたい。

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 そうそう、ちょうど、加藤陽子さん(東京大学教授)の本を買ったところで(読んでいない)、例の「日本学術会議会員任命拒否問題」が浮上した。
 加藤さんは拒否された6人のうちの1人だ。

 Twitterの方で、さんざん人の褌で相撲を取ったので、ここで詳しくは書かない。
 だが、これがとんでもない大事件だということはあらためて強調しておきたい。

 こんなことをすればどれほどの大騒ぎになるかが予想できなかったこと自体が、この政権がいかにダメかということを雄弁に物語っている。

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 新しいブルーレイディスクレコーダーを購入した。主な理由は、古いのを息子に譲るためである。

 おそらく10年近く経つが、それほど革命的には進歩していない。それでも、4Kチューナを搭載していたり3番組同時録画ができたりする。
 ドラマだけ・映画だけ・スポーツだけみたいな番組リストを自動で作ってくれ、使い込んでいくうちに見たい番組ほど上位にリストアップされる機能なんかもあるようだ。

 あ、いちばん驚いたのは、取扱説明書をいっさい見ることなく、あらゆる設定がほどんど自動で完了したことである。面倒だったのは、自宅のWi-Fiパスワードの入力だけだった。

 うちのテレビは2Kだが、テレビ本体で見るよりも、レコーダーを通して見た方がきれいな(気がする)のも面白い。同じメーカー(SONY)なので、おそらくは、画像処理技術が上がっているのだろう。

 あっ・・・いま、『探偵!ナイトスクープ』の録画予約をし忘れていたことに気がついた(手遅れ)。

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 トランプが、米国史上最低最悪の大統領であることは論を俟たない、という気がしていた。
 いや、ただの人間としてでも、はなはだしく軽蔑・唾棄すべき人物である。
 安倍さんや菅さんがマシに見えるくらいひどい。

 でも、考えてみると、奴隷制度やその後の人種差別を維持し続けた歴代大統領、民間人を対象に絨毯爆撃を指示した大統領、都市への原爆投下を(2度にわたって!)命令した大統領、第二次大戦全体で使われた爆弾の3倍ともいわれる量をベトナムに落とした大統領、ありもしない大量破壊兵器の存在をでっち上げ、一方的に他国を侵略した大統領・・・等々、やったことでいえば、トランプよりはるかにひどい殺人者などはたくさんいる。

 それでもトランプは最低最悪の大統領なのか・・・ 直観は、そうだと告げる。

 簡単に答えは出ないが、他の大統領たちの多くは、人間としてはそこまで悪い人物でなかっただろうことがヒントになるかもしれない。
 彼らに決定的に欠けていたのは、想像力ではないだろうか。

 そういう人たちを当時の時代背景におけば、現在なら「人道への罪」と断罪されるようなことであっても、免罪はされないまでも「あの時代ならありえた」のだという気がする。

 トランプは、現代の(いや、おそらくどの時代でも)大統領としてありえないのだ。だから最低最悪の大統領だと言われるのだろう。


 そのトランプも新型コロナウイルスに感染する。ウイルスは忖度してくれない。

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2020.09.08

■Stand by Me と Labor Day

 何かいい映画はないかと Amazon Prime Video の作品を眺めていたが、どうもいいのがない。

 見たくなるようなのはほとんど見てしまっているし、見ていないものは見る気になれない。

 そんな中、『スタンド・バイ・ミー』が目に入った。
 ものすごく有名な映画だし、主題歌も大好きなので、よく知っている気になっているが、どんな映画だっけ?と思い出そうとしても、子どもが4人で線路を歩く・・・ということくらいしか思い出せない。

 鑑賞中に思い出したのも、橋の上で列車が迫ってきたときに主人公が Train ! と叫ぶ場面と、パンツの中に入ったヒルを取り出して失神する場面くらいである。
 最後に死体を見つけたのかどうかすら、覚えていなかった。

 まあ、たぶん30年以上も前に見たんだろうから、当然といえば当然だが、自分の記憶力のなさにはちょっとげんなりした。
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 見終わってまず驚いたのが、スティーブン・キング原作で、ロブ・ライナー監督だったこと。特に前者。へぇぇぇ。

 そしてなんと! 見た日が偶然にも、アメリカの Labor Day であったことに、後で気づいた。

 大きな?冒険をした4人がオレゴン州キャッスルロックの町に帰って来るのがレイバー・デイ前日の日曜日である。
 それは、ひと夏の終わりであると同時に、主人公たちにとっては小学生の終わりを意味する。

 そして、映画の最後で

"I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.  Jesus, does anybody?"
(12歳の時のような友だちは、その後2度と持てなかった。だれだってそうだろ?)

というほどの3人の友だちも、うち2人はほどなく

"As time went on we saw less and less of Teddy and Vern until eventually they became just two more faces in the halls."
(時が経つにつれて、テディやバーンに会うことはどんどん少なくなり、とうとう、学校で見かけるその他大勢の中に2人がいるという程度になってしまった。)

というような存在となっているし、一緒に進学コースに進んだクリスとも、彼が死んだ時点で10年以上会っていない。

 ひと夏の終わり、小学生の終わりは、たとえ、小さな町で中学生へと続くだけの途上であっても、実際には大きな終焉を意味するのだ。
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 30年の時を隔てて、記念すべき Labor Day に見た Stand by Me は、同じような年が繰り返される日常にあって、どれほどの大きな終焉を幾度となく迎えてきたかを考えさせられることになった。その終わりにもほとんど気づかないうちに。

 日本で区切りなく暮らす身には、小学校卒業後のレイバー・デイの感慨はないにしても、やはりまた、何かが終わる季節なのだと、似合わぬ感慨にふけらざるをえない。

(Stand by Me, 1986 U.S.A.)

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2019.05.23

■やっぱりひどい翻訳の話

 「マン・ダウン 戦士の約束」(アメリカ映画)を見た。

 妻子を国に残してアフガニスタンに赴任した海兵隊員が過酷な経験をして・・・という映画なのだが、終わってみればというべきか、意外にも?社会派ドラマであった。

 映画の最初のタイトルバックに描かれ、物語の途中でもときおり挟みこまれる荒廃した故郷の風景の意味をはかりかね、「主人公がアフガニスタンに行っている間にアメリカが最終戦争に巻き込まれた」というSFなのか・・・という思いも過ぎるが、まさかそんなはずはなく、終末ですべて回収されるようになっている。

 が、しかし、やはりちょっとやりすぎというか、わかりにくい構成だなあとは思う。
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 それはそれとして、久しぶりに映画のことを書こう(見るのはけっこう見ている)と思ったのは、映画の冒頭で字幕翻訳にがっかりし「これでは先が思いやられる」と感じたからだ。

 タイトルバックが終わり、場面転換して本編が始まって2つ目の字幕(一つ目は "Come in" に対する「入れ」)が、もう誤訳なのである。

 アフガンの戦場でトラウマティックな経験をした主人公のカウンセリングを担当するペイトン大佐をゲイリー・オールドマンが演じているのだが、それを「大尉」と訳しているのだ。

 原語は captain で、確かにこの語は海軍以外では大尉だから面倒なのだが、ペイトンはまさに海軍大佐なのである。
 制服には名前とともに U.S. NAVY と、そしてどの軍であっても大佐を表す鷲の階級章が刺繍されている。

 そもそも、映画撮影時に57歳だったゲイリー・オールドマン(しかも軍医?)を大尉だと訳そうとして、違和感を持たなかったのだろうか。もしほんの少しでも引っかかりがあれば、辞書を引くだけで(プロならば引かなくても)解決するのである。

 プロの翻訳者として戦争映画に字幕をつけようという人物が、こんな初歩的な間違いを犯すとは到底信じがたい。

 案の定というか、ウィキペディアにも「ペイトン大尉」と書いてある。こうして誤訳が既成事実となっていくのだろうか・・・
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 ここまで書いて、以前、似たような?誤訳をした翻訳者にあきれ果てて腹を立てたことを思い出した。

 読み返すと(今回よりひどい誤訳だ)、われながら腹立ち紛れに書いているのがよくわかる。
 今回はあれを繰り返すまい。

 ただ、救いがないのは・・・

 前回と今回とが違う翻訳者だということである。あ、以前書いたERの大誤訳も別人だ。
 (念のため、私は「ミス」をあげつらっているのではありません。)

 この3人とは別に、誤訳で有名な大御所もいる。

 ほんとにもう、「この業界の翻訳の質が向上することを願ってやまない。」

(Man Down, 2015 U.S.A.)

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2018.11.09

●「目黒 栞」は存在しない

 つまらないことが気になる。

 フジテレビで今秋やっているドラマ「黄昏流星群」で黒木 瞳が演じているヒロインの名前が「目黒 栞」なのだが、ドラマの設定だと、こういう名前の人物は存在しないはずなのだ。

 「栞」の字が人名漢字に入ったのは1990年なので、目黒さんは28歳以下ということになるのだが、ドラマでは50くらいである。
 その年齢に「栞」が本名の人はいない。

 まあ、そんな細かいことを言わなくても、ドラマのプロット・ストーリー自体が「ありえない」の連続なので、いかにも弘兼憲史だなあと あきれるのだが、それでも見ていて面白いのだから逆に大したものなのかもしれない。
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 「栞」の件がちょっと気になって調べると、このドラマの原作は1995年から連載されているらしい。
 だとすると、その時点で「栞」さんが50歳なら、1945年生まれということになり、当用漢字や人名漢字が制定される前である。だから「栞」もあり得たのか・・・と思ったが、原作の名前は「栞」ではなく「誠子」だという。

 であれば、ドラマ制作陣のミスである。「栞」という名前をこの時代のこの世代の人物につけるべきではなかった。

 まあ、こんなつまらないことを気にしている人はほとんどいないんだろうけれど。

 後記:

 主人公である瀧沢完治の妻は「真璃子」だと知ったのだが、これもありえない。「璃」の字が人名用漢字に入ったのは1981年であるからだ。真璃子を演じる中山美穂も、さすがに30代には見えない。

 ドラマ制作陣は、何も考えずに「栞」や「真璃子」なんて名前を使っているのだろうか。それとも逆に、「登場人物はフィクションです」を担保するためにわざとやってるんだろうか。まさかね。

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2018.10.14

◆行きすぎたPC?

 標題のPCとは、Political Correctness のことで、日本語では「政治的正しさ」などと訳される。

 そう訳してもぜんぜんわかりやすくならないのだが、要するに、「人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること」(デジタル大辞泉)である。
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 さて、今日は短く。

 Criminal Minds という FBI を題材に取ったドラマを見ていると、"rabies" を字幕で「恐水病」と訳していた。

 恐水病が重要なテーマであるため、それがわからなければ物語が理解できないのだが、その後、話が進まないと、ああ、アレのことか・・・とはなかなか気づけない。

 あまり知られていないと思うのだが、何の病気のことかおわかりだろうか。

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2018.09.19

■「アキレスのかかと」

 みなさまは、「アキレスのかかと」が何を意味するか、瞬時に理解できて違和感もないでしょうか。
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 キリがないし面倒くさいのでなるべく書かないといいながらのたぶん3回目。
 まあ、十数年の歴史で3回ですからほとんど書いてませんよね。

 アメリカのFBIに所属するプロファイラーたちを主人公にしたドラマ、Criminal Minds を見ていると、

 "The child is definitely her achilles heel." という台詞が出てきた。
 「間違いなく、その子どもが彼女のアキレス腱(=弱点)だ」というような意味である。

 その字幕がどうなっていたか。

 全体を正確には記憶していないが、「アキレスのかかとよ」というのは完全に覚えている。まったく同じ表記で、もう一度出てきた。「アキレスのかかとよ」
 (最後の「よ」の是非についてはかつて考察した(笑)ので、興味があればご覧ください。)

 「弱点」を表す比喩としてアキレスを持ち出すなら、もっとも人口に膾炙しているのは間違いなく「アキレス腱」だろう。

 なのになぜ、「アキレスのかかと」なんて訳すのか。文字数だって増えてしまうのに。

 もしかすると私の思い込みなのかもしれないと考え、Google で「"アキレス腱" "弱点”」および「"アキレスの踵" "弱点”」で検索してみた。
 「アキレス腱」は5万500件、「アキレスの踵」は631件だった。
 ちなみに、「アキレスけん」だと3850件で、「アキレスのかかと」では564件。
 (以上いずれも「"弱点”」との and 検索)

 やはり「アキレス腱」と訳すべきなのは間違いない。
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 では、どうして訳者は「アキレスのかかと」なんかにしたんだろう?

 下手をすると意味がわからなくなるし、仮にわかっても、私のように引っかかる人も多いはずだ。文字数だって3文字も増える。仮に「踵」を使っても1文字増えるのだ。

 「アキレスのかかと」の方が字幕として適切だという根拠は、何一つ見つけられないと思う。

 私に想像できる理由は2つしかない。

1.日本語で「弱点」を比喩的に言う場合、「アキレス腱」が非常に頻繁に使われることを訳者は知らなかった。
 そこで、"achilles heel"をそのまま「アキレスのかかと」と直訳した。英和辞書を引けば、"achilles heel"に「唯一の急所、弱点」などの訳語が載っているから。
 まさか、と思うのだが、そうとしか考えられない。

2.「アキレス腱」も「アキレスの踵」も、弱点を表す比喩であることは知っていたが、前者の方がはるかに一般的だということを知らなかった。
 そこで、どちらを採用しようかと考えた際に、「腱」や「踵」の字が読めない人も多いのではないかと気になった。
「アキレスけん」「アキレスのかかと」を比較した結果、後者の方が見てすぐ理解されやすいだろうと思った。

 うーん、やっぱり2なのかなあ。たとえそうでも、不適切の誹りは免れないと思うんだけれど。
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 いずれにせよ、日々目にする山のような誤訳・不適切訳の事例を考えると、根本の問題は、翻訳者の中に日本語のできない人が多すぎる点にあるという気がしてしかたがない。

 これは、英語(外国語)が好きで翻訳の世界に入った人がほとんどであることが主因であろうと推察される。

 だとすると、改善への道のりは遠そうだ。

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2018.06.10

◆グッド・ライ 〜いちばん優しい嘘〜

 思いがけず、いい映画を見た。

 「兄弟」を失いながら1000km以上も裸足で歩き、ケニアの難民キャンプにたどり着いたスーダン難民。十数年もそこで過ごした後に、やっとアメリカに第三国定住が認められるも、もちろんいいことばかりではない。

 ただ、重いばかりの映画ではないのも救い。簡単に救われてはいけないんだろうけれど。

 紙の上ばかり、あるいは刹那的映像だった難民が、映画の中とはいえ彼ら自身の時間を紡いでいっている様を見られたのは大きな収穫だった。
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 そうかな・・・とは思っていたが、スーダン難民を演じる主人公たちは実際の難民だそうである。

 ともかくご覧になってみてください。
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 今知りましたが、「ビューティフル・マインド」のロン・ハワード製作だそうです。

The Good Lie, 2014 U.S.A.)

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