★「レイヴンの手袋」 ──調べてみれば・・・(その2)
愛知県美術館がアンドリュー・ワイエス展を行ったときのカタログに、トーマス・ホーヴィング(元メトロポリタン美術館長)という人の書いた解説があった。
その中に、ワイエスの作品として「レイヴンの手袋」というのが出てくるのだが、いくら調べても作品が見あたらないと家人が言う。
もとの英語がわからないので何とも言えないが、「レイヴン」は raven(ワタリガラス)、「手袋」は glove(s) でほぼ間違いないだろう。
検索すると、私も愛用するバイク用品メーカー、クシタニの手袋ばかりが表示される。検索語に Wyeth(ワイエス) を入れてさえそれだ😅
まさか、クシタニのツーリング用グローブを描いた絵なのか? そういえば、ワイエスの絵は衣類に特徴があるかも、でもクシタニの手袋ってアメリカでもそんなに有名なのか・・・など、あらぬ思いが駆けめぐる。
困ったときの AI 頼みで聞いてみても、そんな作品はないと言われてしまう。聞き方をいろいろ変えてみても同じ。
じゃあ、このカタログに明確に記されている「レイヴンの手袋」という作品は何なのだ。幻の存在なのか・・・
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いつものように、別の AI にも聞いてみると、なんと! Raven's Grove という作品があると教えてくれた。
「レイヴンの手袋」どころか「ワタリガラスの木立」である。
訳者が grove(林・木立)と glove(手袋・グローブ) とを取り違えた、明らかな誤訳だ(トーマス・ホーヴィング自身のスペルミスという可能性もあるが、確率は低いだろう)。
日本語訳だけを読まされる者にとって「レイヴンの手袋」は最悪だ。
そもそも、レイヴンが raven なのか自体も判然としないし、仮に raven だとしても、カラスなのか人名なのか(あるいは他の何かなのか)もわからない。それに加えて、「手袋」の誤訳・・・
さすがに「カラスの手袋」とは訳しにくかったのだろうが、そこに気づけば、glove ではなく grove だとわかりそうなものだけれど。
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わりと短時間で解決して家人には感謝されたし、謎が解けたときの気持ちよさは想像以上だった。
だが、しょせんは AI に教えてもらっただけなのである。
こういうのを自力で解決できればもっと楽しいと思うし、それこそが調査・研究などをする醍醐味なのだろう。
もちろん、もっと大きな謎が解けたときの話だが、確か、上野千鶴子(東京大学名誉教授)がどこかで「脳天を突き抜ける快感」のように記述していたと記憶している。
その快感の虜(とりこ)になって研究を進めるというのだが、そんな人は果たしてどのくらいいるのだろう?
みんなそうなのかな・・・


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